200 Countries, 200 Years, 4 Minutes2010年12月27日 22:56

これは凄い。

内容も興味深く、
そしてデータプレゼン手法もお手本にしたいほど見事だ。

BBCは良い番組作りますなぁ。


Hans Rosling's 200 Countries, 200 Years, 4 Minutes
- The Joy of Stats - BBC Four

http://youtu.be/jbkSRLYSojo

今年最後の2010年01月24日 17:31

「新年明けましておめでとうございます。」

を皆さまに。遅ればせながら。


なんやかんやで帰国してから半年も更新が滞ってしまいましたが、

年も切り替わりましたし、またぽちぽちと書き連ねようかと思います。

気が向いたら懲りずにのぞいてみて下さいまし。



さて、新年一発目ですので、少々硬い話を。


最近、「赤の女王仮説」というのを知りまして、

曰く、

「その場にとどまるためには、全力で走り続けなければならない」

という『鏡の国のアリス』“赤の女王”の台詞を、

生物学的に

「生存競争に生き残るためには常に進化し続けることが必要」

と読み替えても、

政治学的に

「軍拡競争」

と読み替えても、どうやら正しく検証されそうだということのようです。


折よく日本人が愛してやまない「世界第2位の経済大国」の肩書きを

ほぼ確実に中国に明け渡す2010年。

(為替の塩梅では2009年で既に逆転。。)


特にミクロな国内製造業を営む者としては、

経済学的にも、赤の女王のおっしゃられることは正しそうだと

肌身にしみる今日この頃です。

虎の子とされる自動車産業とて、明日のGMへ首の皮一枚の有様。

他の産業はいわんや。


この先も一本調子で中国は突っ走るのでしょうか?

まあ9分9厘そうなると思います。

そのうちアメリカ捕捉が視野に入ってきて、

また世の中が騒がしくなるのでしょう。


ただ。

残りの1厘。


敵失を探す情けなや日本人にとっての希望の1厘は、

やはり中国の国家体制にあるかと思います。

GoogleへのCrackingや、Avatarの上映禁止騒ぎから察する

中国のInstitutional Qualityの水準の低さ。


非常にマイナーですが、

経済発展に必要な"4I's"といのを唱えている方がおります。

"Innovation" "Initial Condition" "Investment" "Institutions"

の4I'sなのですが、この方によれば、"Institutions"という、

要するにどれだけ法治国家の体をなしているかという点で、

一定の水準を超えない国は、per Capita GDP $9,000あたりで

発展の壁にぶち当たるのだそうです。

その最も顕著な例は、懐かしのソビエト連邦だそうな。


おそらく過去のある時点において、ソ連は今の中国のように

もしくはそれ以上にイケイケだったと思います。

そして、よもや将来連邦が崩壊するなんて、

その当時はアメリカだって予想していなかったのではないでしょうか。

でも歴史は皆さんがご存じの通り。


勉強家な中国のエリートさん達が、Institutional Qualityの低評価に

問題意識がないはずはないと思いますが、

政治とは道理とは別次元の力学で動くものなのであるのは、

洋の東西を問わないんでしょうねぇ。


せめて与えられたこの猶予のウチ、生存のため、

会社を少しでも進化させねばなぁと心に刻む年明けであります。


本年もよろしくお願い致します。

見出しと論旨が違いすぎる件について2009年04月17日 00:13

なんか変だなぁと思いつつ読み進むと

「これらのことを勘案すると、FRBがバブルを未然に防げなかったのは、

実務上、無理もなかった一面があるのかもしれません。」

という一文でずっこける記事であります↓

『バブルを招いた“真犯人”はFRB』
-なぜ米国住宅バブルは未然に防げなかったのか?
(日経ビジネスONLINE / 鈴木晋)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/money/20090410/191609/?P=2


ぢゃあ“真犯人”って言いきるなよ。


浅い知識で書くのもなんだが、手もとの教科書の受け売りでいえば、

テーラー・ルールは、(少なくとも実務上は)金利上げ下げの

方向性の手がかりとしては有効でも、

金利の適正水準を示すには、不十分とされているし、

第一米国は、(少なくとも公には)目標インフレ率は

設定していなかったはずでは?


しかも住宅価格は重要とはいえ物価の一要素でしかないのだから、

これのみをターゲットにして金融政策をとれるわけがない。


またまた教科書を受け売れば、

局所的な価格上昇(例えば不動産とかガソリンとか)は、

他の価格下落で相殺されるので、
(ガソリン高い=>モノ売れない=>スーパー特売増える、みたいな)

全体的なインフレに対しては中立のはず。

もっともこれは今回の不動産価格上昇によるの資産効果に際しては

説得力を持たないけれど。


今回の危機の基本的な反省としては、

FRBの政策金利はもちろん遠因の一つではあるものの

どちらかといえば、野放図なローンと

素人一般庶民がハイレバレッジに浮かれちゃうことに

法制度的から歯止めをかけるべきだったのであって、


金利をもう少し上げればよかったのに、というのは

住宅の問題だけ見れば、そう言えるかもしれないけれど、

経済全体で考えると、本当???というところだと思う。



もちろんこんな程度のことは

元内閣府国際経済担当企画官であらせられる著者様は

百も承知に違いない。


だから中盤からは、「FRBもつらいよね」的な話になり、

後半にいたっては、「バブル抑止ってそもそも誰の仕事??」と

いつの間にか論点提起に変わっている。


誰が“真犯人”やねん。


この記事は次回に続くようなので、

そこでやっぱりFRBは真犯人になるのかもしれない。


ただ、予告的に並んでいる“金融監督のツール”としての

“自己資本比率規制”や“時価会計”という言葉から察するに、

これらを政府が行使できないからといって、やっぱFRBのせいだ!

というのはちと厳しいと思う。

上にも書いたようにバブルには群集心理みたいな社会学的な

要素が多分に絡むわけで、金融政策だけで対処しようとすることに

そもそもの無理があるのだから。


もちろんもちろん。

こんな程度のことは

元内閣府国際経済担当企画官であらせられる著者様は

百も千もご承知に違いない。


とすると、下衆の勘繰りによれば、

改めて見直してもやっぱりヒドイこの記事の見出しの付け方は、

編集者の仕業かしらん?

いつも思うけど、ジャーナリズムの質の低さは

日本の停滞の責任の一端を担っている。間違いない。


それとも官僚殿は、庶民はどうせ理解できないだろう、

とタカをくくられておるのかしらん?

大衆夕刊紙が喜んで報じるマインドセットで。。



いづれにせよ、なんとも微妙な記事でありました。

さあ米株を買おう!!2009年03月31日 01:42

日曜の財務長官のポロリ発言と

(まだお金が足りない銀行があるね、とついホントのことをおっしゃった)

GM・クライスラーの再建案却下で

週明けの米株式市場はけっこう下げていますが、

それでもここ数週間の上昇トレンドを崩すほどには至っていません。



オバマさんのスピーチを聞く限り、

GM・クライスラーに対する政府のスタンスがはっきりしたので、

りそな銀行を国有化し、ダイエーというゾンビにやっとこ

止めを刺した後に日本株がゆっくりと上げたように、

米株もこのところの上昇トレンドを、よりしっかりしたものに

するのではないでしょうか。



オバマスピーチの基本的なメッセージは、

・GMの再建策は政府がつくります

・GMの債権者と労組は政府の再建策を受け入れるか、
 破産して管財人を挟んで交渉するか選びなさい

・クライスラーはフィアットに救ってもらいなさい

・いずれにせよ決断を先延ばしして、これ以上だらだら
 税金を投入し続けることはしません

というあたりでしょうか。



消費者に向けた、

・車のワランティは政府が保証するので、
 たとえGM・クライスラーが破綻しても、
 ユーザーには迷惑はかからないようにする

・購入に際してのタックスブレイク

・ディーラーやオートローン業者への資金バックアップ

といった言及もありました。

だから安心してどんどん車を買ってね、と。



先日表明したサプライヤー支援と併せて、

破綻の場合の波及効果の最小化を着々と進めている感じ。


販売→生産が上向けば、たとえ会社を破綻させても

レイオフを最小限に止める口実が政府にできるので。



それにしてもオバマさんは相変わらずスピーチがうまい。

半分ぐらいは抽象的で中身のない単なる前向き発言なのだけど、

(「毎朝起きると自分はあなたたち(苦境にいるブルーカラー)のために
戦うためにあるのだと再確認する」みたいなことまで言ってた)

なんとなくいけるかも、という気にさせてくれる。


と、その気になったのは自分だけか??

現時点(スピーチから30分)でS&P 500はあんまり動かないねぇ。


参考:
米政府自動車作業部会のGM・クライスラー再建計画に対する結論
 by ロイター
http://jp.reuters.com/article/domesticFunds/idJPnTK834363220090330

ささやかな反論2009年02月17日 01:32

『相当に危ういオバマ政権の経済認識』(大前 研一/日経BP)

http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/column/a/169/index.html

> 日本や北欧の90年代の経験ではやっても効果は少なく、
> やらなくても良質な国では人間の身体と同じような
> 自然の経済治癒力・回復力があるものなのだ。

潜在成長力への回帰を指しておられるのかと思いますが、

デフレ入りがささやかれる昨今においては、こちらの方が

「神様でも分からない」議論に思えます。

(何時まで待てばいいの?という点について特に。)


確かに危機時においては、Physical/Monetaryの両方とも

平時に比べて波及効果は限られますが、

そんあこたあ普通にマクロの教科書に書いてあることで、

みんな分かっています。


それでも鳶のにいさんはキャバクラで散財してくれるだろうし、

Money MuitiplierがNegativeになることはないのだから、

例え100円ばらまいて35円でも

「やらなかった時のダメージよりもやったときのコストの方が小さい」

というのは、レトリックというよりは本音だと思います。


他に策がないのだから、しょうがないだろう、と。

効果が限られるから過去最大やるんだろう、と。

日本は量的緩和が遅かったのが悪かったんだろう、と。



中国に対しての認識の下りは興味深く読ませてもらいましたが

米国の経済政策に対しての処方箋については、

「ポールソンのせい」の一点張りで、(実際そうなのかもしれませんが)

本質的にはこちら↓からの考察の深まりが見えません。残念です。

America must seek aid for a global credit line (FT)
http://www.ft.com/cms/s/0/d44a3c0a-8ef0-11dd-946c-0000779fd18c.html?nclick_check=1