見出しと論旨が違いすぎる件について2009年04月17日 00:13

なんか変だなぁと思いつつ読み進むと

「これらのことを勘案すると、FRBがバブルを未然に防げなかったのは、

実務上、無理もなかった一面があるのかもしれません。」

という一文でずっこける記事であります↓

『バブルを招いた“真犯人”はFRB』
-なぜ米国住宅バブルは未然に防げなかったのか?
(日経ビジネスONLINE / 鈴木晋)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/money/20090410/191609/?P=2


ぢゃあ“真犯人”って言いきるなよ。


浅い知識で書くのもなんだが、手もとの教科書の受け売りでいえば、

テーラー・ルールは、(少なくとも実務上は)金利上げ下げの

方向性の手がかりとしては有効でも、

金利の適正水準を示すには、不十分とされているし、

第一米国は、(少なくとも公には)目標インフレ率は

設定していなかったはずでは?


しかも住宅価格は重要とはいえ物価の一要素でしかないのだから、

これのみをターゲットにして金融政策をとれるわけがない。


またまた教科書を受け売れば、

局所的な価格上昇(例えば不動産とかガソリンとか)は、

他の価格下落で相殺されるので、
(ガソリン高い=>モノ売れない=>スーパー特売増える、みたいな)

全体的なインフレに対しては中立のはず。

もっともこれは今回の不動産価格上昇によるの資産効果に際しては

説得力を持たないけれど。


今回の危機の基本的な反省としては、

FRBの政策金利はもちろん遠因の一つではあるものの

どちらかといえば、野放図なローンと

素人一般庶民がハイレバレッジに浮かれちゃうことに

法制度的から歯止めをかけるべきだったのであって、


金利をもう少し上げればよかったのに、というのは

住宅の問題だけ見れば、そう言えるかもしれないけれど、

経済全体で考えると、本当???というところだと思う。



もちろんこんな程度のことは

元内閣府国際経済担当企画官であらせられる著者様は

百も承知に違いない。


だから中盤からは、「FRBもつらいよね」的な話になり、

後半にいたっては、「バブル抑止ってそもそも誰の仕事??」と

いつの間にか論点提起に変わっている。


誰が“真犯人”やねん。


この記事は次回に続くようなので、

そこでやっぱりFRBは真犯人になるのかもしれない。


ただ、予告的に並んでいる“金融監督のツール”としての

“自己資本比率規制”や“時価会計”という言葉から察するに、

これらを政府が行使できないからといって、やっぱFRBのせいだ!

というのはちと厳しいと思う。

上にも書いたようにバブルには群集心理みたいな社会学的な

要素が多分に絡むわけで、金融政策だけで対処しようとすることに

そもそもの無理があるのだから。


もちろんもちろん。

こんな程度のことは

元内閣府国際経済担当企画官であらせられる著者様は

百も千もご承知に違いない。


とすると、下衆の勘繰りによれば、

改めて見直してもやっぱりヒドイこの記事の見出しの付け方は、

編集者の仕業かしらん?

いつも思うけど、ジャーナリズムの質の低さは

日本の停滞の責任の一端を担っている。間違いない。


それとも官僚殿は、庶民はどうせ理解できないだろう、

とタカをくくられておるのかしらん?

大衆夕刊紙が喜んで報じるマインドセットで。。



いづれにせよ、なんとも微妙な記事でありました。

コメント

_ 筆者 ― 2009年04月18日 01:04


後半あがりました

『悪い景気がもっと悪くなる?金融監督のジレンマ』
http://business.nikkeibp.co.jp/article/money/20090414/191841/?P=1

サブタイトルは
『自己資本比率規制と時価会計の景気変動増幅効果』

完全に時事解説モード。。

”真犯人”どこいった~??

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